Rapid Response Systemの構築

急性期病院におけるRapid Response Systemの構築について
May 05, 2017chevron-down
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Rapid Response Systemの構築
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Rapid Response Systemの構築

要旨

  • 前提:総合病院・院内体制

  • 課題:主治医が多忙である等により「CPAに陥る前に起こるバイタルサインの不調が認められる」(以下、Pre-CPA状態)患者への対応が十分に出来ていなかった。

  • 対応:Pre-CPA状態にある患者に対して主治医以外の医師らがコンサルトできる仕組みを導入した。

  • 結果:今後、急変する恐れがある患者に対してICUへの入室等、適切な措置が取れるようになった。

前提

  • 内部環境:
    病床数1,166床(一般1,151床、精神病床5床、第2種感染症10床)
    手術室29室あり、入院外来併せて年間約13,000件の手術を行っている。
    また、三次救急指定で年間救急車受け入れ数は約9,500件と多い。
    医師数は約480名、看護師数は約1,300名

  • 外部環境:
    同一医療圏(岡山県南西部)には川崎医科大学付属病院がある。
    しかし、医療圏内の患者シェアは当院の約半分であり、外的脅威でなく、地域に対する急性期医療の提供元として相互補完関係にある。
    その他に倉敷成人病センター等の大~中規模急性期病院が僅かにあるが、川崎医科大学付属病院と同等の関係性である。
    倉敷市中心部に公的医療機関(国立、県立、市立、日赤等)はない。
    これらのことから地域住民ならびに自治体の弊院に対する医療依存度は高い。

課題

Pre-CPA状態にある患者に対して、対応が遅れるケースがあった。

背景

急性期にある患者が多く、入院中の体調悪化のリスクが高い。 院内診療体制は一部診療科を除いて概ね主治医制であるため、主治医が処置や転棟の判断を一任している。

状況の分析

主治医が手術や外来で病棟不在になっていることにより診察が遅れることや、CPAに結び付く状態変化と判断することができなかったことが可能性として考えられた。 病棟看護師が入院患者の状態把握を最も出来ているが、主治医を呼ぶ以外に対応がほぼ出来ない状態にある。明らかに緊急性が高い場合以外は病棟担当医などに頼むことは主治医との関係性を考慮すると憚られるとのことであった。

アプローチ

Pre-CPR状態にある患者への対応体制である、Rapid Response System(以下、RRS)を構築した。 RRSの仕組みとしては以下の通りである。

  • Pre-CPR状態を定義し、これを専属チームであるRapid Response Team(以下、RRT)のコンサルト発動条件とした。なお、このPre-CPR状態には異常なバイタルサインの数値的定義以外に、「看護師が異常と感じた場合」を含めることで柔軟さを含めた。

  • RRTは医師(救急科・麻酔科・循環器内科)ならびに急性期患者へのケアに関する専門看護師及び認定看護師で構成されている。

  • 病棟看護師がPre-CPR状態にあると判断した場合、主治医に連絡する。主治医対応が遅れると判断される場合は、相談の上、RRTにコンサルト要請を出す。

  • RRTは現場急行し、診察を行い、結果を主治医に報告する。必要であれば処置等を実施する。

  • RRTに参画している医師、看護師への負担を考慮し、現在は平日9時から17時に限定して対応している。

一般的なCPR対応(スタットコール、コードブルーなど)との違いは患者状態がCPA状態でなくても呼ぶことが出来る点、専属のチームが来る点である。

結果

2015年10月からRRS体制が稼働し、現在月に約3件程度の出動状況である。弊院の規模から考えるとまだ十分でないと考えるが、スタットコール等の院内急変件数は若干減少傾向にあり、一部成果として見えてきている。

現場の医師や看護師からは複合的な疾患を抱えた患者への対処に苦慮した際の相談先としても利用されているようである。また、人員が手薄な夜間帯や休日への対応ニーズも相応に増えてきているので、今後の課題である。

議論の残る部分

  • 主治医制の意識が強く、他者の関与を拒否するケースが残存している模様なので、さらなるチーム医療の推進を図る必要がある。

  • 発動基準に対する教育は看護部を中心に継続的に実施しているが、ほぼCPA状態になってRRS発動するなど、条件にそぐわない使われ方をすることがある。


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立ち上げに際して苦労した点は?
Masami Kosako: [@highlight/989] 課題に対して、とても適切にアプローチされていると思いました。 一筋縄ではいかないこともあると思いますが、苦労した点、注意した点などありますか?