急性期病院における医療機器修理対応について

2016年6月から故障報告書を支払い決裁文書と一体化し、各部署からは新故障報告書を用いて臨床工学部へ報告するフローとした。
急性期病院における医療機器修理対応について
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HN
Published
Aug 14, 2017

急性期病院における医療機器修理対応について

要旨

  • NTT東日本関東病院は、NTT東日本株式会社が所有する企業立病院であり、東京都品川区五反田に位置する592床の急性期病院である。病院機能評価は、日本医療機能評価機構とJCIの認証を受けている。

  • 課題:新病院を開設してから17年が経過し、医療機器の老朽化が著しい。故障頻度が高いが、故障時の責任の所在が不明確であることが課題であった。

  • 対応:医療機器安全管理委員会は、2016年6月から故障報告書を支払い決裁文書と一体化し、各部署からは新故障報告書を用いて臨床工学部へ報告するフローとした。

  • 結果:故障対応フローが変更されたことにより、故障に対する職員個人の意識が高まり報告件数が増加した。

前提

NTT東日本関東病院は、昭和26年に前身の電電公社の病院として設立され、職員およびその家族の健康を守ることから始まっている。昭和60年に電電公社からNTT東日本株式会社へ民営化されたことを切欠に、昭和61年一般開放された。なお、紙カルテが主流の時代に、電子カルテの導入を先駆けて行った。18診療科の急性期病床に加え、精神神経科病棟、緩和ケア病棟など総計592床の許可病床を有しており、「がん」「急性疾患(脳/心血管)」「地域連携」「国際化」に注力している。 病院経営の黒字化を目的に、事業計画の抜本的な見直しを実施した結果、短期的に注力すべき6つのテーマを設定した。目標として、数年後に収支黒字化を目指している。 医療の質の向上は、日本医療機能評価機構の認定以外に、世界標準の「医療の質と患者安全の継続的な改善」を目的に2011年4月にJCI(国際病院機能評価機構)の認証を都内では初めて取得した。2017年7月に、3回目の更新審査に合格している。最近では、枠組みにおけるJCIのガバナンスマネジメント4つの役割の明確化し、病院運営に係る事項を、適切なタイミングで効果的に指示、承認、周知するための病院ガバナンス体制・枠組みを見直した。

課題

当院は7000弱の医療機器の固定資産を保有しているが、2000年に新病院を開設した際にまとめて購入した医療機器の老朽化が著しい。それらは、全体の20%を占めており、17年経過していることから故障頻度が高いが、故障時の責任の所在が不明確であることが課題であった。

背景

各診療科の医療機器が故障した場合は、スタッフからの依頼を受けて病棟クラークがメーカに対し故障修理依頼するフローであった。

状況の分析

1か月あたり平均500~600万円の修理費用が発生していたことから、その故障報告の原因を調べると、根本的な機器の不具合のほか「落下」が3か月平均5件という結果となった。スタッフは、病棟クラークに依頼するのみで個人に責任や説明を求められるわけではないため、故障に対する修理コストの意識が低く、故障すれば修理や交換してしのげばよい、という考えがあることが想定された。ただ、医療機器故障状況を部署別に調べてみると、手術室やICUなどの集中治療系病棟が多い。医療機器の高度化に伴い軽量化したことも落下の原因の一つと考える。

アプローチ

医療機器安全管理委員会は、各スタッフが故障、修理対応に対してより意識するような仕組み作りとして以下の2点について2016年6月より対策を立案し、実行した。 1.院内全体で機器が故障した時に提出する故障報告書に、支払いの決裁文書を一体化した。 2.医療機器に不具合が生じた際、各科が自由にメーカへ依頼していた修理を、一律して必ず臨床工学部に故障報告するフローとした。

臨床工学部は、新しい故障報告書を受けるとまず、第一段階として、臨床工学技士を故障場所へ訪問して修理可能か・廃棄か・メーカに依頼するのか判断する。メーカへ依頼する際にも必ず臨床工学部がメーカに対して見積もりをとり、金額に応じて修理すべきかもしくは更改すべきか何が妥当なのかを判断する。その後、事務と相談して決裁の承認が得られたら支払処理する流れとした。

結果

故障対応フローが明確になったとともに、故障後はすぐに臨床工学技士が現場に訪問することから、故障に対する職員個人の意識が高まり、故障報告件数が2015年の758件から2016年は1172件と2倍近く増加した。また、故障報告書に支払い決裁文書を一体化したことによって、故障後の事務対応がスムーズになり、フロー見直し以前に比べてプロセス全体の手間を減らすことができた。なお、2016年6月から2017年4月までの修理及び更改にかかった費用は約5800万円であった。

議論の残る部分

本活動を継続するために、現場ごとに報告された医療機器の故障原因を分析・報告する勉強会の開催や、故障機器の修理や更改における費用の改善の余地が十分にあると考えられる。


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